お城に足をふみこむ勇気
ずっと、ずっと一緒にいて
ずっと、ずっと愛するひと
もうじき貴方はあたしの下から旅立ってゆく、
あたしの知らない世界へ────────────
「..貴方、エクソシストになるんですってね。」
「........。」
「どうして黙ってたのよ、ねぇ..あたしが気付かないとでも思った?」
「...べつに、必要のねぇ話だったからな。」
「..な、あたしには関係のないことだって言いたいの?」
「そうだ、この話はお前に関係ねぇだろ。」
──関係ないわけ、ないじゃない─────
「..あるでしょ、あたしには。」
「..関係ねぇな。」
「..関係あるわよ。そんなとこにアンタが行ったら、あたしは..」
──あたしはどうすればいいのよ─────
ちいさい頃AKUMAに両親を殺され一人ぼっちで
家族も居なかったあたしは、
いつも神田に護ってもらっていた。
お陰であたしはだんだん仲間と呼べるひともでき、
いまではみんな本当の家族のような関係だ。
「..もうここには..、お前には仲間がいるだろ..。」
「...えっ..?」
「..お前はもうオレがついてなくても、大丈夫だ。」
──でも、
...神田だけは違ったの。
あたしのだいすきなひと。
だいすきじゃ足りないくらい、愛してるひと。
──..なのにそんなこと、
──どうしてアンタが決めるのよ。
──そんな風に言われたら、あたしは..
「..そうね、いつまでもアンタに護ってもらう訳にも..」
──強がって、そう云うしかないじゃない
---------
「....っ 」
「..いつまでも、泣いてんじゃねぇ。」
「..泣いてなんか、ない。」
「目から水だして、なに強がってんだ。」
「..強がってなんか、」
「もーいい、とにかく泣き止め うぜーんだよ。」
「..う、うざいって..アンタねぇ!」
「..やっと泣き止んだか、ならオレは行くぜ。」
──外のかぜでキラキラなびく神田の漆黒の髪
──黒いマントを軽く羽織った神田の背中
──真実だけを写す凛とした神田の瞳
──時折見せる神田の笑顔、やさしさ
──すべてあたしの愛したもの
「...神田っ」
「...なんだよ。」
「アンタのこと、当分許してやんないからね。」
「 そうかよ。」
「..でも、まっててね。」
「..はあ?」
「あたしもエクソシストになってアンタに
会いにいける勇気ができたら.....。 」
「..あの、黒いお城に足を踏み入れる..勇気がついたら、」
「...また、あたしのそばでずっとアンタに護ってもらうから。」
END ・・お城に足をふみこむ勇気・・
**涼宮 柚茄**