鎮魂曲
かかえあげられる、あたしの体・・・
それはもう─────────────────
─────────────────言葉も
─────────────────熱も
─────────────────貴方の隣を歩くことも
奪われてしまった─────────────────・・・
「 ・・・いの・・ 」
だめよ あたしはもう答えられないの
「・・うそだろ、何で冷たくなってんだよ・・」
だめよ 貴方がいくらだきしめても
あたしの熱は戻ることができないの
「ずっとオレたちは運命共同体じゃねぇのかよ・・」
だめよ もう無理なの
「・・んで、お前なんだよ・・ 」
寝てんじゃねえぞ、いの・・・
────────────なあ・・、目ぇ 覚ませよ────────────
***
任務中、 戦闘になり
依頼者を狙った 忍の攻撃を
全身でかばった いの
そのキズは 致命傷もので
医療忍術の前でも
その治療は 無に等しかった
その後、 オレが病院につく前に
息を引きとったんだ
珍しいことじゃない
忍はいつも 死と 隣あわせだ
今回のことも
コイツの ことだって
でも、だからこそ
ずっと そばにいて
コイツを、 護ってやりたかったんだ
「・・いの、何か言ってくれよ───・・」
だめよ できないの
「・・何で 何も言わねんだよ 」
だめよ 伝えたいのに・・・・
あたしはもう 貴方にコトバを伝えることができないの
「・・・いの 」
「・・オレ、まだ言ってねんだ 」
──────────────シカマル・・・?
「・・言えてねえんだよ──────・・・」
──────────────なにを・・?
「 いの、お前に・・ 」
「・・・すきだって。」
「小っちぇ頃から ずっと すきだったんだ、いの 」
・・ほんと・・に、シカマル?
・・・・ねぇ、 ほんとなの・・・
「 すきだよ、いの 」
・・・あたしも、 すき
──────────────胸がつまるくらいの想いが
涙と一緒に流れて 落ちては、消える────────────
「すきなんだ、いの。
・・・お願いだ、戻ってこいよ 」
・・バカ 戻りたい、帰りたいわよ──────────────
でも あたし、どうすれば貴方の下に帰れるの─────────?
ねぇ どうすればいいの ??
わからない、 わかんないよ────────────
でも、それを貴方に訊くこともできない
だってあたしの声 もう届いてないんでしょ ?
・・・届かないんでしょ?
───────────だったら あたしは
心で貴方に、 伝えるから─────────────
ずっと、 側にいることは 願えないけど
≪ 心でなら ≫
ずっと 貴方の側にいれる。
だから、 これが、
あたしの 最後のわがまま
ずっと、 こころで・・・
・・ 貴方を 想っていてもいいですか ・・
「 いの 」
「お前の命は 消えちまったけど・・
ずっと 会えねぇ訳じゃ、ねえからよ・・」
・・キラキラ輝く雨のしずく・・
「・・また、 会おうぜ 」
無意識に 涙がこぼれる
「・・はっ、 だっせ──。
男が、女のまえで泣くもんじゃね─な 」
──────────頭では 分かってんだ。
これは 忍として名誉の死だ───────────
分かってる、 分かってるつもりなんだ。
─────────────でも、 こころは
≪忍に、感情は いらない≫
それでも あるんだ
消せない
隠せない
抗えない
コイツへの 大事な想いが
「・・ちっ、めんどくせ─な。女ってのはよ 」
オレに こんなにも
消せないキモチを 刻んでいくんだ
「・・・ほんと、 めんどくせ─よ」
オレは 眠っているコイツにそっと顔を寄せる
「 ・・・いの、 」
「・・・・・。」
「・・・やっぱ、やめた・・」
眠ってる間にって反則くせ─もんな と
微笑をうかべて、少し 涙ぐんだ瞳でそう云い
貴方はあたしの頬に触れ、
「・・これは・・ 次、あったときな 」
ありがとう シカマル
いつも いっぱいわがまま訊いてくれて
ありがと いつもあたしを護ってくれて
ありがと こんな素敵なキモチ、教えてくれて
ありがと ・・・あたしを想ってくれて・・・
「・・めんどくせ─から、さよならとか言わねえからな 」
あたしだって、言ってなんかやんないわよ
・・でも、これだけはいったげる・・
──────────だいすきよ シカマル─────────────
END ・・鎮魂曲・・
シカいのでいのチャン
死ネタです。
やっぱり2人だから
ただ哀しいお別れは
似合いませんよねッ;;
きっと2人はどちらが
先に死んじゃっても
ずっと想いあう、
そんな関係だって
私はおもいますvV
**涼宮 柚茄**